
2013年7月21日(日)-23日(火)(大阪)
ポスター
ヒト胚子外表写真を用いたカーネギーステージ(CS)分類判定支援装置の作成 尾関舞美
ポスター、口演
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次世代の医療は、医学研究科だけでなく、さまざまな分野の学生が担って行く可能性があります。今回は、その代表として理工学、細胞生物学、地域・社会学からのアプローチを取り上げ、医療の動向を議論したいと思います。本プログラムを聴講した様々な分野の学生が、次世代の医療に繋がるヒントを得て、思いもかけない連携が生まれるかもしれません。それは、この上なく喜ばしいことです。 ■ 研究科横断型プログラムについて(外部リンク;京都大学HP内) ■ 研究科横断型プログラムについてのポスター.pdf 理工学、細胞生物学、地域・社会学の3領域からの医療への取り組みを専門家に紹介していただき、討論をします。 10/2. 杉本 直三 (人間健康科学系専攻:教授) 画像処理・解析による診断と治療の支援 10/9. 酒井 晃二 (人間健康科学系専攻:講師) 画像解析と診断との融合:MRIの例を中心に 10/16. 椎名 毅 (人間健康科学系専攻:教授) 次世代の検査機器開発;超音波と光による生体機能・性状のイメージング
<次世代の生体医療材料> 10/23. 岩田 博夫 (再生医科学研究所:教授) 人工材料への細胞の接着 10/30. 山本 雅哉 (再生医科学研究所:准教授) 新しいDrug delivery systemの開発 11/6. 藤林 俊介 (医学部附属病院 整形外科:講師) 生体活性チタンを用いた新しい骨関節疾患治療
<次世代の細胞治療> 11/13. 前川 平 (医学部附属病院 輸血細胞治療部:教授) 京都大学における細胞治療・再生治療開発への挑戦 11/20. 仙石 慎太郎 (細胞-物質統合拠点:准教授) 幹細胞の品質評価・安定培養技術とイノベーション 12/4. 門脇 則光 (医学部附属病院 血液・腫瘍内科:准教授) がん免疫療法としての細胞療法 12/11. 細田 公則 (人間健康科学系専攻:教授) 糖尿病、肥満症、メタボリックシンドロームの次世代医療
<医療のグローバル化> 12/18. 山田重人 (人間健康科学系専攻:教授) 次世代の出生前診断 12/25. 伊藤 達也 (医学部附属病院 探索医療センター:助教) 治験、臨床試験を実施する際の行政との関わり 1/8. 山田 実 (人間健康科学系専攻:助教) 転倒予防を通した新たな地域との関わり 1/22. 宮野 公樹 (学際融合教育研究推進センター:准教授) 新しい医療のための異分野融合ダイナミクス 1/29. 総括
![]() ヘッケルの”有名”な発生と進化の教科書の図より 脊椎動物は、発生の中途で極めて似た形態をとる時期があります。この時期から僅かに発生が進むだけで、それぞれの胚は外観をかえ、その成人の姿を容易に推察できるようになります。ヘッケルが「ある動物の発生の過程は、その動物の進化の過程を繰り返す形で行われる」、いわゆる反復仮説を唱えたのもこういった観察に基づくものでした。ヘッケルの反復説が19世紀当時、大きな注目・支持を集めた理由は、個体発生と系統発生の間にあった多くの観察事例とその傾向を、非常にシンプルに説明するようにみえたからでしょう。 この類似の形態はいわゆる“咽頭胚期”と言われる時期に相当します。頭部、尾部があり、その間が分節化した構造をもつこと、この頭尾軸に沿って、神経管、消化管があること、心臓、鰓孔があることなど…この形態は、多様な脊椎動物の共通項を抜き出したものといえるかもしれません。この類似性の高い段階をPhylotypic stageといいます。 どうして、こんなに似ているのでしょうか。それは、脊椎動物がこの時期に体の構成”body plan”の概要を決定するからで、進化的に変更が効きにくかったからだと言われています。最近の遺伝子の発現パターンをみた研究では、body planに関連した重要な遺伝子が、この時期多く発現し、その発現パターンは種間で驚くほど類似していることが示されています。このように動物が個体発生を行う際、その発生中期に進化的な変更を最も加えにくい時期が存在するという考えを発生砂時計モデルといいます。 ところで、この咽頭胚期ですが、ヒトではCS12に相当すると考えられられます。ヒトのこの時期より若い時期の胚についての研究は、進んでいるとは言えません。受精28日未満の時期であり、妊娠そのものが自覚できていない時期であること、3mm程度と非常に小さいこと、個体の形状が保持しにくいことなどの理由で、解析個体が得にくく、解析も困難だったからです。私たちは、組織連続切片をデジタル化し、最新のコンピュータ、ソフトウエアを使用して、この時期の胚子の研究にも取り組んでいます(22 Ueno et al)。 22. Ueno S, Yamada S, Uwabe C, Männer J, Shiraki N, Takakuwa T, The digestive tract and derived primordia differentiate by following a precise timeline in human embryos between Carnegie stages 11 and 13, Anatomical Rec 2016, 299, 439-449, DOI: 10.1002/ar.23314s, (概要) |