ヒトの形態形成の ‘見える化’
研究の概要

私たちは、ヒトの胚子や胎児がどのように形づくられていくのかを、最新のイメージング技術によって立体的かつ定量的に捉える研究を進めています。
ヒトの発生に関する研究は20世紀初頭から続けられ、多くの重要な知見が積み重ねられてきました。
しかしその一方で、従来の研究には、記録が文章や模式図に依存していて定量的な比較が難しいこと、限られた標本から全体像を推定してきたこと、さらに発生時期の特定が難しいことなど、いくつかの課題がありました。特に、胎児期初期以降の比較的大きな個体については、全身を対象とした精密な形態研究が十分とはいえませんでした。
そこで私たちは、高解像度MRIやCTを用いて、胚子・胎児標本を高品質な3Dデータとして多数取得し、研究に活用しています。これにより、発生の過程を立体的に観察できるだけでなく、多くの個体を比較しながら、形の違いや変化を数値として客観的に評価することが可能になります。
イメージングデータの強みは、単に「きれいに見える」ことではありません。
三次元的に正確な形を記録できること、空間情報を数値化できること、そして数理的な解析へとつなげられることによって、ヒトの形態形成をより精密に読み解くことができます。これは、古典的な記載中心の形態学では難しかった、新しい研究のかたちです。
私たちの目指すのは、ヒトの発生をより正確に理解し、その過程を誰にとってもわかりやすく示すことです。
ヒトのからだが形づくられていくダイナミックな過程を、「見える」研究へ。
この取り組みは、発生学や解剖学の新たな可能性を切り拓くとともに、教育や医学への応用にもつながっていきます。
- 1 形態形成中の諸器官の“うごき”、“成長“の定量化
- 2 胚子期の形態形成時期の特定、精度向上
- 3 発展的な解析を進め、諸器官の既存モデルの再検討と新規モデル提唱
- 4 胎児期初期の新規所見の提示
先天異常標本解析センターが所有する胚子、胎児標本、組織標本、MRIデータ等の画像データ、疫学データの使用については医の倫理委員会で承認されています(E986, R0316, R0989)。
DTI-MRI撮像データを用いたヒト胎児期初期の研究(島根大学医学部と共同)は医の倫理委員会で承認されています(R2224)

